#31 Webサイトの寿命は〇年?リニューアルの成功を左右する『準備8割』の重要性
お客様からWebサイトのリニューアルについてご相談いただく際、拝見するサイトの中には、前回の制作から5年、中には10年以上経過しているものが少なくありません。
「古くなったからそろそろリニューアル」というお考えは、非常によく理解できます。
かつては、制作会社から「3年程度でのリニューアルが目安」という話があったかと思います。しかし、以前のリニューアル後に制作会社との関係が途絶えていたり、特に運用を行っていなかったりすると、5年、10年という年月があっという間に過ぎてしまうのかもしれません。
ただ、これだけの年月が経過していると、私たちが見ても、やはり古さを感じてしまうのは否めません。それが、リニューアルを検討される理由の一つでしょう。
かつて「3年程度でのリニューアル」と言われていた背景には、いくつかの理由がありました。
ひとつは、かつて「ムーアの法則」という言葉が盛んに言われていたように、パソコンのスペックが急速に向上し、それに合わせてソフトウェアも進化していたことです。Webで実現できることが年々増えていったため、一定期間が経過したWebサイトは古く感じられ、場合によっては閲覧できなくなることもありました。これは技術的な側面からの理由です。
もう一つは、技術的な進歩に合わせて表現の幅が広がったことです。Web特有のビジネススキームやマーケティング手法、情報工学などがWebサイトに応用されるようになり、表現のトレンドが大きく変化しました。
これらの理由から、Webサイトは3年も経過すると、非常に古く感じられるという状況があったのです。
では、現代において、企業のWebサイトの寿命はどのくらいなのでしょうか?
現在では、3年程度前のWebサイトであれば、それほど古さを感じることはないかもしれません。もちろん、これは見る人によって異なります。最先端のトレンドに常に触れている人からすれば、古く感じられるかもしれませんが、ビジネスの側面から考えれば、きちんと運用されているWebサイトであれば、見た目上の違和感は少ないように思います。
しかし、5年、10年となると、やはり古さが目立ちます。同業他社のWebサイトと比較すれば、その差は明らかでしょう。
「古いかもしれない」という不安だけで判断するのではなく、自社のビジネスに貢献しているかどうかで判断するのが良いでしょう。例えば、毎月一定数のお問い合わせがあり、その中から受注に繋がっている、資料請求の依頼がある、アクセス数が伸びているなど、具体的な指標があれば、3年以上経過していても問題ないかもしれません。
多少の技術的な遅れがあったとしても、リニューアルするまでもない場合は、制作会社に調整を依頼すれば対応できることもあります。
ただし、5年、10年と経過し、存在を忘れられているかのようなWebサイトは、1年でも同様かもしれませんが、早急なリニューアルを検討すべきです。
サイトのリニューアル自体が目的ではなく、運用体制や指針を整えることが重要です。
企業のWebサイトがビジネスに貢献していないのであれば、サーバー代やドメイン費用、メンテナンス費用など、少額とはいえ無駄な出費となります。運用せずに放置している状態は、お金を払って会社のイメージを下げていると言っても過言ではありません。
今更言うまでもないことですが、Webサイトは「自社で持つメディア」と言われます。
メディアである以上、常に情報を更新し、変化に対応していく必要があります。毎日同じ静止画が流れるテレビや、同じ音楽を繰り返すラジオを想像してみてください。テレビやラジオは、番組の魅力で集めた広告で収益を得ているため、単純に比較することはできませんが、少なくとも同じものを何年もそのままにしておくことはありません。
かつて、Webサイトはパンフレットや名刺のようなものと考えられ、持っているだけで価値があった時代もありました。しかし、個人レベルでのインターネット利用が普及した現在では、Webサイトを持つことは当然であり、運用されていないことは、持っていないことと同じくらい問題です。
Webサイトの寿命は、ビジネスに貢献しているかどうかで判断することになります。
リニューアル成功の鍵は「準備8割」
そして、Webサイトのリニューアルを成功させるためには、実は「準備8割、実装2割」と言われるように、事前の準備が非常に重要です。
リニューアルの目的や目標を明確にすることはもちろん、どのような情報を発信していくのか、どのようなユーザーに届けたいのか、具体的な計画を立てることが不可欠です。
この準備段階で重要な役割を果たすのが「コンテンツ戦略」です。
コンテンツ戦略とは、Webサイトを通じてどのような情報を発信し、ユーザーにどのような行動を促したいのか、そのための計画を立てることです。
例えば、
・ターゲットユーザーは誰か
・どのような情報を求めているのか
・どのようなキーワードで検索するのか
・どのようなコンテンツがあればユーザーの役に立つのか
などを具体的に検討し、計画に落とし込んでいきます。
コンテンツ戦略がしっかりと練られていれば、リニューアル後のWebサイトは、ユーザーにとって価値のある情報を提供し、ビジネスの目標達成に貢献する強力なツールとなります。
しかし、準備が不十分なままリニューアルを進めてしまうと、デザインだけが新しくなっただけで、中身は以前と変わらず、結局は期待した効果が得られないという結果になりかねません。
Webサイトのリニューアルを検討されているのであれば、見た目のデザインだけでなく、その土台となるコンテンツ戦略に力を入れることをおすすめします。