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#17 哲学するウェブ戦略

Feb 23, 2025By 徹全 TETSUZEN
徹全 TETSUZEN

ビジネスの世界で「哲学」と聞くと、少しばかり眉をひそめる方がいるかもしれません。大学のアカデミックな環境で行われている哲学は、実際のビジネスと結びつきにくいと感じるのも無理はありません。そもそも哲学科で何が行われているのか、理解している人は少ないでしょう。

しかし、私たちはウェブサイトのコンテンツ戦略を考える上で、あえて哲学的なアプローチを採用します。それはなぜでしょうか?

哲学とは、物事の本質を「問い」によって探求する学問です。あらゆる現象に対し、「なぜ?」「なにか?」と問い続けること。

では、その哲学にとっての究極の問いとはなにか?
それは「哲学とはなにか?」という問いです。
他の学問ではあまり見られない、根源的な問い。経済学には経済の定義があり、政治学にも政治の定義があります。しかし哲学には、唯一無二の定義はありません。2000年以上も続く「哲学とはなにか?」という問いそのものが、哲学を哲学たらしめているのです。
もちろん、大学では哲学者の学説を細かく研究しますが、根源にあるのは「哲学とは何か?」という問いなのです。

少し視点を変えて、ビジネスについて考えてみましょう。ビジネスの成功法則は、明確に存在するのでしょうか?過去の成功事例は数多くありますが、これから始めるビジネスに当てはまる保証はありません。指針となる定義やノウハウは存在するのでしょうか?

ビジネスが人間の活動であるということはとりもなおさず、答えがあらかじめ与えられているものではないと考える方が普通の様な気がします。

現代は「正解のない時代」「未知の経営判断を求められる時代」と言われますが、これは今に始まったことではありません。いつの時代も、ビジネスには方程式のような正解は存在しないのです。えらっそーに「今の時代は、正解のない時代で…」などと語る評論家めいた人はいますが、そもそもいつの時代も「お先真っ暗」だったのです。ことさらに自分たちの時代だけを特殊扱いする反省能力のなさに辟易します。
いつの時代も、そこで人は悩み、考え、決断し、なんらかの答えをだしてきている。

そして、これは哲学が「正解のない学問」と言われる理由と重なります。哲学は「今」に問いかけている。
私たちビジネスに携わる者は、常に「正解のない」世界で、試行錯誤を繰り返していると言えるでしょう。

もちろん、成功の確率を高めるための知識や情報は数多く存在します。現代においては、それらは簡単に手に入ります。

しかし、それらを鵜呑みにすることは危険ですし、それだけでわかった気になってしまう(人は多いですが)のもヤバい。専門知識をかじっただけで、ビジネスのトレンドに飛びつき、理論上は完璧でも失敗した例は数え切れません。情報過多の時代、どの知識を選ぶべきかさえ、分からなくなることもあります。

結局、私たちが立ち返るべきは、正解のない世界で試行錯誤を繰り返すこと。基本に立ち返り、改めて問い直すこと。
知識や情報を集めることではなく「考える」こと。

哲学は「問い」の学問です。しかも、物事の根源を問う学問です。2000年以上かけて培われた哲学の手法は、ビジネスへの応用ではなく、「哲学的な思考」としてビジネスに活かされます。経営者が日々悩む「正解のない」課題に対し、闇雲に悩むのではなく、より深く、より本質的な「問い」を立てる指針となるのです。

では、ウェブサイトのコンテンツ戦略において、なぜ哲学的なアプローチが重要なのでしょうか?

「ウェブサイトの役割は?」「目的は?」「効果は?」「何を掲載するのか?」「それはなぜ?」…これらの問いは、まさに哲学的なアプローチで考えるべき問題です。

ウェブは新しいメディアであり、答えは一つではありません。組織や企業によって、目的も効果も異なります。

だからこそ、既存のウェブを疑い、先入観のない目で見つめ直す必要があります。根源的な「問い」から始めましょう。

世界を前にして驚くことから哲学は始まる(θαυμάζειν)」のです。