#211 新年早々LLMOが重要だと考えさせられたお話 NewYear's Episode

Jan 04, 2026By habitus
habitus

「営業中」の店は閉まっており、「赤札は中古」と嘘をつかれたお正月。

ググらない息子(チャッピー世代)と、沈黙する企業の「すれ違い」が生む悲劇

あけましておめでとうございます。 西暦2026年も、どうぞよろしくお願いいたします。

皆さんのお正月はいかがでしたでしょうか? 私は久しぶりに息子とゆっくり過ごしたのですが、そこで見た「検索の常識」の変化に、職業柄、多少焦ってしまいました。

今日は、私がこの正月に体験した2つの出来事を通じて、なぜ今、企業が「AI対策(LLMO)」に取り組まなければならないのか、そのリアルな理由を書いてみます。

事件①:「営業中」と断言したAI、閉ざされたシャッター

元日の昼下がり、息子と「何か食べに行こうか」という話になりました。 私がスマホで検索しようとすると、息子が制するように言いました。

「チャッピーに聞けばすぐわかるよ」

彼はChatGPTのことを、今時ですよね、親しみを込めて「チャッピー」と呼び、もはやGoogle検索などほとんど使いません。なんでもかんでもチャッピー。 「ここならやってるよ」と息子が見せてくれた画面には、「〇〇(某チェーン店)は、本日は通常通り営業しています」というAIの自信満々?な回答がありました。なんだかいつもAIは自信満々です。

「へえ、さすがだな」と二人で店に向かったのですが…到着して、あらっ!呆然としました。 シャッターは降りており、そこには「年始は4日から営業いたします」という貼り紙が。一応、そのお店の入っているビル管理の人が入り口にいたので、お店やってます?と聞いたところ、「?」という顔をして「ビル内全部お休みですよ」と丁寧に教えてくれました。

気合いを入れて食べまくろう!と考えていた息子は少なからずショックを受けていたようでした。「え、なんで? チャッピーはやってるって言ったのに…」。 しかし、AIが間違えていたのはその店だけで、別の候補になっていたチェーン店については「本日は休業の可能性があります」と正しく答えていたのです。(だからこの別のチェーン店には行くのを辞めたのです)
ちなみに古い世代の私は電話して確認すりゃいいじゃんと思ったのですが、息子はそんなことは全く考えもしないようでした。

なぜ、AIはこの店だけ「営業中」と嘘をついたのか?

家に帰って調べてみると、理由がわかりました。

正解した店: 12月初旬に公式サイトで「年末年始の営業について」というお知らせを出していた。
嘘をつかれた店: 公式サイトには何のお知らせもなく、「沈黙」していた。いつものままってことです。

AIはリアルタイムでお店を見ているわけではありません。
情報がない(沈黙している)場合、AIは「情報がない=変更なし(通常通り営業)」と勝手に推測して穴埋めをしてしまうのです。

事件②:「その赤札は中古品です」という、無邪気な冤罪

しかし、これだけでは終わりませんでした。
その後、ある洋品店でのことです。 年始の特別セールで、いくつかの商品に「赤札(値下げタグ)」が付いていました。それを見た息子が、またそのチャッピーに聞いたのです。

「この店の赤札ってどういう意味?」

スマホを見た息子が言いました。 「父さん、これ中古品だって。チャッピーがそう言ってる。だから安いんだ(と、納得している)。」

そんなはずはありません。そこは新品しか扱わないチェーン店です。 私が「まさか」と思って後で調べてみると、案の定でした。どこかの匿名掲示板や口コミサイトに、「ここの赤札って中古品なのかな?」「安すぎるし中古かもね」という、根拠のない噂話が書き込まれていたのです。

ここでも原因は企業の「沈黙」です。 公式サイトに「赤札=年始のセール品」という明確な定義(正解)がないため、AIはネット上に拡散された「中古品かも?」という噂話(ノイズ)を拾い上げ、それをあたかも事実のように息子に伝えていたのです。

AIは嘘つきか?

「削除」の戦いから、「定義(上書き)」の戦いへ

これまでも、企業はこうした「ネット上の嘘や悪評」に苦しめられてきました。
Google検索で、公式サイトより上に「悪口が書かれた口コミサイト」が表示され、売上や採用に響く――。

多くの企業が、弁護士を雇って削除依頼を出したり、他の記事を量産して順位を下げようとしたり(逆SEO)、膨大なコストと労力をかけて戦ってきました。なんとかしてくれという依頼を受けたこともあります。しかし、一度ネットに出た情報を消すことは法的なハードルも高く(デジタルタトゥーですよね)、まさに「いたちごっこ」でした。

しかし、AI時代の戦い方は違います。
「消す(Delete)」のではなく、「上書き(Override)」するのです。

AIは「空白」を嫌います。公式な情報がないならなんとか情報を探そうと、噂話を拾うのです。 逆に言えば、企業側が「構造化データ(LLMO)」という正規の手続きを使って、「当社の赤札は『新品のセール品』である」とAIに直接定義してあげれば、AIはその「公式情報」を最優先で採用します。

匿名の口コミと戦う必要はありません。堂々とAIに「身分証明書」を見せればよいのです。

ググらない世代と、マーケティングの本質

今回、私がびっくりしたのは、AIの嘘そのものではなく、息子がそれを「疑いもしなかった」ことです。 彼はGoogle(や電話)で裏取りをしません。「チャッピーが言っているから正解」なのです。これをITリテラシーの低さだというのはカンタンですけど、おそらくもうすでにこういう情報収集の仕方を多くの人がしていると考えた方がいいでしょう。

ITに詳しい専門家だけでなく、ごく普通の若者や消費者が、当たり前のようにAIに行動を委ね始めている。 「うちはまだAIなんて関係ない」と経営者が静観している間に、あなたの店には「営業中だと思って来たのに閉まっていた」という失望が積み上がり、あなたの商品の赤札は「中古品」として認知され始めているかもしれません。「デジタル」ですら関係ないと思っている経営者もまだ多いと思うのですが、いやもう、とっくに知らないうちに取り込まれているわけです。そしてAIにも。

SEOもLLMOも、結局は「人」に届けるためのものです。

SEO: 検索エンジンという機械を通じて、人に情報を届ける。
LLMO: AIという機械を通じて、「人(私の息子のようなユーザー)」に情報を届ける。

入り口がGoogleからAI(ChatGPT)に変わっても、情報の受け取り手は常に「生身の人間」であり、これは広義の「マーケティング(顧客への誠実な対応)」そのものなのです。

「戦略」なきAI対策は、顧客への裏切りになる

ハビタスがリニューアルし、Habitus Logic(LLMO事業)を立ち上げた理由はここにあります。

AI対策とは、単なるテクニックではありません。 「お客様(人)がいつ、どんな情報を欲しがるか?」を先読みし、正しい情報(コンテンツ)を用意してあげること。そして、それをAIが誤解しないように、正しく翻訳してあげること。LLMOとはコンテンツ戦略の一環なのです。

これは、かつて私たちが店頭で「本日は休業です」「これは新品のセール品です」とお客様に声をかけていたことと、何ら変わりません。

「コンテンツ戦略」で正しい事実を作り、「LLMO」でそれを届ける。 この当たり前の「マーケティング」を行わないことは、AI越しに御社を見ている未来の顧客に対して、意図せず嘘をつき、裏切ることになってしまうのです。

さて、2026年はもう始まっています。 御社のWebサイトは、チャッピーを信じ切っているひとたちに(うちの息子含む)に、胸を張って「事実」を伝える準備ができていますか?

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