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#43 WEBサイトの『目的』って、結局なんだろう?

Apr 09, 2025By 徹全 TETSUZEN
徹全 TETSUZEN

前回、「WEBサイトにとって最も重要なのは何か」という問いを立て、組織の「目的」に沿っていることが最重要だと書きました。

ところが、実際に多くの企業サイトを見ていると、「これはいったい何を『目的』にしたサイトなんだろう?」と感じることが少なくありません。

この会社は何を売っているんだろう?この会社の魅力って何だろう?どこに問い合わせればいいんだろう?どんな人が対応してくれるんだろう?…

果たしてこの情報は、私のような人間(ターゲット顧客)に向けられたものなのだろうか?

もちろん、それぞれのページは一応考えて掲載されているのだとは思います。しかし、同業種の別の会社と見比べてみて、どの程度の違いがあるのか?まとめていくつか見たときに、記憶にどれほど残っているでしょうか?

エッジが効いていないとか、そういうレベルの話ではなくて、もう毎日のようにWEBサイトを見慣れてしまっている今の私たちからすれば、デザインも似たような感じ、レイアウトも「まあ、これが使いやすいということなんだろうな」と思いつつも、だいたい似たようなもの。キャッチコピーは、読んでもなんだかよくわからない…。

ほんの数秒ちらっと見ただけだと、「あー、どこも似たようなものなのねぇ…」と感じて、それ以上関わろうとしない。

これには、ある程度しょうがない側面もあると思います。もしかしたら、WEBサイトのマーケティング的なルールが浸透したということなのかもしれません。様々な調査結果からの帰結なのでしょう。「こういうレイアウトにしましょう」「こういうデザインにしましょう」…その方が見やすい、クリックされやすい、等々。

一定のトレンドはあるものの、あまり実験的な要素は見当たりません。WEBデザイナーたちも、自分たちのデザイン能力を最大限に発揮しようというよりは、確立されたルールに忠実に、そつなく作っている印象を受けます。

そういう意味では、WEBサイトの「型」みたいなものは、概ね完成の領域に近づいた…いや、「型の時代的なトレンド」が浸透したと言う方が適切かもしれません。新たな「型」が出てくる可能性はゼロではありませんが、今のところ広い意味でのマーケティング的要素から「型」が形成されていて、それらに忠実であればあるほど、みな同じようなものになってしまうという、皮肉な結果になっているように思うことがしばしばです。

さて、WEBサイトにとっての「最重要なもの」は、企業の「目的」に沿った事柄を記載して、その結果を得るということなのですが、そもそもこの「目的」とは何なのでしょうか?お客様からは「当たり前じゃないか、利益を増やしたいとか、たくさん集客したいとか」と言われることがよくあります。しかし、それは「会社」の一般的な目的(ある意味必然的な)であって、どの会社でも当然のことです。

何よりも、お客様に「なにかが他と違っている」「ここならいいかも」「なるほど、よくわかった」等々と思ってもらいたいわけですから、同じ「型」で同じ「目的」では、なかなか表現がしづらいのはご理解いただけるかと思います。

うまく企業の「目的」が表現できなければ、伝わらなければ、どこでも同じ。これでは、ビジネスには繋がりません。

「型」については、様々な知見やデータがあるので、これに抗うことは組織としてはなかなか難しいことでしょう。しかし、本来「目的」には差があるはずです。少なくとも、もう少しバリエーションくらいはあるはずです。

では、私たちはどのようにその「目的」をさらに掘り下げて、より具体的なものに向かい、明確にし、WEBサイトを有効に活用できるのでしょうか?

あえて、「差別化」という用語を使わずに書いてみましたが、この単語はあまり好きではありません。「固有化」とか「特色化」という言葉の方がしっくりきます。思想関係の用語では「差異化」というのもありますが…。

引き続きこのことについては考えていきたいと思います。