#257 第4回(かすかな希望編)勝つためにではなく、負けないためのWeb戦略の考え方

Feb 24, 2026By habitus
habitus

デジタルが苦手な中小企業のための
「負けない」Web戦略論
ー少し哲学的に考えてみたAIのお話ー

<かすかな希望編>
勝つためにではなく、負けないためのWeb戦略の考え方。
—自己主張のススメとささやかな抵抗と—

ここまで、AIに対する「二枚舌」や、否定(Not)による定義の話をしてきました。さて、連載の最後にあたり、ちょっと青い?情熱的?と思われるお話を。

これを読んでいる経営者の皆さんは、おそらくこう思っているはずです。
「また新しい横文字かよ」
「どうせ大企業がお金使って勝つんでしょ?」
「SEOだ、ブランディングだと散々煽られて金を使ったが、結局何も変わらなかった…んだよなぁ」

ツライですよねぇ…。そんな気がします。私もそう思っているひとりです。
最近、Webマーケティングの著名な専門家がSNSでこう言っていました。
「SEOは自社で内製できなければ、もう無理だ」と。

そうなんでしょうね。お金や人を使えないなら、結局自分たちでがんばるしかないという結論。
でも、それを聞いた時、私はくらーい気持ちになります。

日々の資金繰りや現場の対応に追われる中小企業に、「自社で高度なWeb戦略を練り、記事を書き続けろ」と言うのは、酷を通り越して「モウムリ」と言われているようなものです。(あれ?どっかで聞いたような…)

私たちには、人手がありません。予算もありません。
そして何より、デジタルの進化スピードについていく気力も、もう残っていない。10年前とは違う。
LLMO(AI最適化)だって、いずれ大企業が本腰を入れれば、一流のライターとエンジニアを雇って、完璧な論理武装で市場を制圧するでしょう。
いわゆるLLMO業者なるものが「AIハック」なる手法を発明して、また焼け野原にするかもしれない。

私たち中小零細企業は、デジタルの世界では、哀しいかな、もはや構造的に「負け戦」しかないのか…。

じゃあ、なんで私はこんな記事を書いているのか…いやまったく。
「ハビタス ロジック」なんていう新しいサービスを立ち上げてまで、何をしようとしているのか。
情けない自虐的なグチを言うためと思われるかもしれませんよね。まったく…。

でも、これを書いているのは、そういった大企業や世の中の雰囲気に勝つためではありません。そりゃ、本音をいえば勝ちたいんだけど…。
ただ、それより気になっていることは「勝手に定義されること」への、せめてもの抵抗をしようと考えるからです。

今、あなたが「ネットなんて関係ない」と沈黙している間にも、デジタルの世界では御社の情報が勝手に生成されています。これは嫌ですよね。なんとしても阻止したい。
口コミサイトには、辞めた社員の腹いせや、誤解に基づいた悪評が書かれているかもしれない(そんなことないのに…)。
AIは、情報がない穴埋めとして、御社のことを「よくある平凡な会社」として適当に紹介しているかもしれない(いや違う。ちゃんと伝わっていないよぉ…)。

中小企業のデジタルにおけるかすかな希望
かすかな希望かもしれませんが…

LLMOをやったからといって、残念ながら、その悪評がある日を境に魔法のように消えるわけではありません。
でも、少なくとも「上書き(反論)」することはできます。一方的に言われっぱなしは困ります。嫌だ。
少なくとも反論はしたい。裁判だって反論させてもらえるわけですからね。当然反論する権利はある。
「いや、うちはブラックなのではない。こういう職人の伝統があるけど、それも現代風に昇華させてる」
「平凡に見えるかもしれないが、この素材への執着だけは、誰にも負けないぞ」

その「言い分」を、AIが理解できる論理として、ネット上に流すこと。
それができれば、AIがユーザーに答えるとき、「評判は悪い面もありますが、一方でこういう強い信念を持った会社でもあります」と、補足してくれるようになるかもしれない。これはある程度実証済みです。
少し喜べますか?

これだと勝ったことにはなりませんけどね。
でも、少なくとも反論を主張することはできる。
そうすれば誰かがいつかわかってくれるだろうと。

あのノーベル賞のボブ・ディランも歌っています。
"But, sooner or later, one of us must know"
(遅かれ早かれ、誰かがわかってくれるはずだ)と。

これは、一方的に言われっぱなしで終わらないための、ギリギリの「主張」の話です。
だって、実際に間違っているんですから。それはちゃんと言っておきたいですよね。

とはいえ、その反論のために「頭に汗をかいて考えろ」ということなんですけど、それだってこっちが偉そうに言っているような気もしないでもないのですけど、わざわざ、そんな面倒なことはしたくないし、そうそうできないのもわかっています。
だけど少なくとも、あなたの中にある「譲れないこだわり」や「世間への愚痴」、あるいは「言葉にならないモヤモヤ」。
それさえあればいいのです。

それを「自由な表現」として、Webサイトの表側にぶちまけましょう。
「偏屈だ」「ポエムだ」と笑われるかもしれない。でも、そこに「表現」の自由と可能性があるのです。そして、それがあなたが主張したいことでしょう。
その「人間臭い叫び」を、私たちのような翻訳家が拾い上げ、裏側で論理(ロジック)に変換して、AIにこっそり伝えます。

そうすれば、いくらかの確率で、その偏屈な叫びを「まさにそれを探していた!」と理解してくれる、あなたたちが思い描く、理想的な顧客に届く可能性があるのです。いや、きっとある。
創業社長なら思い出してみてください。最初の頃のあの勢いね。やったるでぇ!って感じ。大変だったけど、楽しかったですものね。それをもう一度。その感覚を取り戻せるかもよと私は言いたい。

これは、広いデジタルの世界における、とても「かすかな希望」です。
効率も悪い。確実性もない。だから、そんな表現は大企業にはできない。
小さな一歩かもしれないけど、人類にとっては大きな一歩だ…って宇宙飛行士じゃああるまいしと思うかもしれないですけど(ま、実際大袈裟ですけど)、あなたの会社にとっては、この一歩を踏み出してみることをオススメします。
どのみち、デジタルの世界で大勝利なんてできないんですから。
んなこと言われるまでもないですよね。

でも、私はこの「かすかな希望」に賭けてみてはどうかと思うのです。
画一的なアルゴリズムに支配された世界で、
「ここに、小さいけど頑張っている会社あるんだよ」
「ここに、ボクがわたしが、いいたいことがあるんだ!」
そう声を上げ続けることだけが、小さな会社がビジネスという場で生きている証拠を残すことになるんじゃないか?と思うからです。

とか、書きつつ、これは精神論ではないということはわかってもらえたかしらん?
そうなんです。ちゃんと理屈はあるのです。そういう意味では中小企業がデジタルで生き残るためのハウツーを書いたつもりです。
そして、わたしたちもこういうことを共有してくれる仲間がほしいのです。
(腰を低くして)もしよろしければ、一緒に考えませんか?


(連載 了)

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デジタルが苦手な中小企業のための
「負けない」Web戦略論
ー少し哲学的に考えてみたAIのお話ー -

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第4回(かすかな希望編)勝つためにではなく、負けないためのWeb戦略の考え方

第3回「人間には詩(情緒)を、AIには論理を」。 —説明過多なWebからの脱出と、戦略的二枚舌のススメ—

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「〜ではない(Not)」の否定の中に本質が宿る-

第1回 『検索窓には入らない、私たちの「野暮」な誇りについて』