#59 中小企業のためのコンテンツ戦略入門 第2回

「コンテンツ戦略」の基本をマスターしよう
:Webサイトをビジネスに活用するための考え方
1. はじめに:Webサイトは、もっと活用できる可能性を秘めた場所
中小企業の経営者、マネージャー、webの担当者の方々、Webサイトを「ただのホームページ」だと思っていませんか?ちょっと変な言い方ですけど…。
Webサイトは、集客、売上向上、顧客との関係構築など、ビジネスを成長させるための「Webサイトは、もっと活用できる可能性を秘めた場所」です。
長年Webの制作会社として、なんどもそのことを繰り返しお伝えしてきたのですが、まだまだ中小企業の方々には理解してもらっているとは思えない。こっちの説明が下手というのもあるでしょうけど…私たちももっと、中小企業の方々にWebサイトの力を理解してもらえるように、発信していく必要性を感じています。
しかし、webサイトをもっと活用するためには、「コンテンツ戦略」という地図と道具が必要になります。
今回は、コンテンツ戦略の基本をマスターし、Webサイトをビジネスに活用するための考え方を書いてみようと思います。
2. コンテンツ戦略とは何か?:分かりやすい定義と解説
「コンテンツ戦略」とは、WebサイトやSNSなどのデジタルチャネルを通じて、ターゲット顧客にとって価値のある情報を提供し、自社のビジネス目標を達成するための計画 だと、ひとまず考えておきましょう。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、
●誰に(ターゲット顧客)
●何を(価値のある情報)
●どのように(Webサイト、SNSなど)
●なぜ(ビジネス目標達成のため)
を明確にすることです。
例えば、
* 「地域住民(誰に)」
* 「地元の美味しいお店の情報(何を)」
* 「ブログやSNS(どのように)」
* 「来店客数を増やす(なぜ)」
というように、具体的に考えることで、コンテンツ戦略が見えてきます。
「それだけのこと?」となんだか拍子抜けしちゃいそうな話ですよね。
わたしたちが、長年WEBサイトに関わってきた経験からいうと、成果を出せるサイトは、こういった当たり前のことがきちっと整理されていて、指針として共有されているし、常にこれらを確認し続けている。
とかく、デジタルの話になると、横文字が並び、新しい技術や手法がとりだたされて、いわば「飛び道具」を駆使している感じがしないでもない。それらが意味ないものだとはいいませんが、野球に例えれば、ちゃんと素振りができない状態で、長くて重いハイテク金属バット振り回そうというようなもので、当たれば飛ぶかもしれませんがなかなか当たらないし、ボディが壊れてしまうかもしれない。
もちょっと基礎をしっかりしてから、身体鍛えてからにしましょうと思います。
そんなに長時間必要とするものではありません。自分たちのビジネスを一度基礎から見直してみましょう。わかりきっていると思っていることが実はそうではなかったり、それが社内で共有されていなかったりすることはたくさんあるのです。
3. コンテンツマーケティングとの違い
「コンテンツ戦略」と似た言葉に「コンテンツマーケティング」があります。
コンテンツマーケティングという言葉はある程度市民権を得ているというか、よく知られている言葉ですよね。
どちらも「コンテンツ」を活用しますが、少し視点が異なります。
《コンテンツ戦略》
全体的な計画。Webサイト全体の構成、コンテンツの種類、発信チャネル、運用体制などを設計します。
《コンテンツマーケティング》
戦略に基づいて、具体的なコンテンツを作成し、顧客に届けるための活動。ブログ記事の作成、SNS投稿、動画制作など。
コンテンツ戦略は「設計図」、コンテンツマーケティングは「建築作業」と考えると分かりやすいかもしれません。
コンテンツマーケティングを成功させるためには、しっかりとしたコンテンツ戦略が必要です。
設計図というと「そんな悠長なこと言ってられない」という声が聞こえてきそうです。そう、ビジネスの現場で立ち止まってじっくり考えないといけないことを避けてしまう傾向があるのは承知しています。それより作業!。それがコンテンツマーケティングと比較してポピュラーにならない理由でもありそうです。しかし、誰しもが、設計図をちゃんと書かないとうまくいかないよということは経験上理解しているはずです。
4. Webサイトの目的と目標設定
コンテンツ戦略を始める前に、Webサイトの「目的」と「目標」を明確にしましょう。
webの担当者なら制作会社などからなんども言われていることではないでしょうか?
テキトーに流してしまったか、もしくは「そんな簡単に言うなよ」と思われたかもしれませんが、真面目に考えるとちょっと大変です。なにせ経営者ではないし、そんなの勝手に決めることはできないわけですから。なんとかWebサイトの構築や運営とはそもそもこういうことを考えないといけないと上層部には理解してもらいたいところですよね。
【目的】: Webサイトを通して、何を達成したいのか。
* 例: 新規顧客を獲得する、既存顧客との関係を深める、ブランドイメージを向上させる、採用をうまくやりたい
【目標】: 目的を達成するために、具体的な数値を設定する。
* 例: 月間訪問者数を10%増やす、問い合わせ件数を5件増やす、SNSフォロワーを100人増やす
目的と目標を明確にすることで、コンテンツ戦略の方向性が定まり、効果測定もしやすくなります。
5. ターゲット顧客の理解とペルソナ設定
コンテンツ戦略で最も重要なのは、「誰に」情報を届けるか、つまり「ターゲット顧客」を明確にすることです。
ターゲット顧客を理解するために、「ペルソナ」を設定しましょう。
いわば、仮説です。プロジェクトはそもそも「仮説」を立て続けることだといいます。コンテンツ戦略のプロジェクトも同様。ターゲット顧客はどういう人たちなのか?仮説をたてる。
ここで、少し注意があります。ターゲット顧客は既存のお客様のペルソナと必ずしも一致するわけではないのです。もちろん「仮説」ですので、既存のお客様をイメージしながら…になるのですが…。
《ペルソナ》
ターゲット顧客の代表的な人物像。年齢、性別、職業、興味関心、悩みなどを具体的に設定します。
まずは、これらのある意味「定性的」※なデータを想定してみましょう。
これなら、これまでのアクセスデータを見たり、実際の顧客リストから想定可能です。
直接顧客と接している営業部署の方などにヒアリングしてみてもいいでしょう。
BtoBの場合でも担当者や顧客企業の経営者の方などをイメージしてみましょう。
※実際はさらに数値では測ることができない情報もたくさんあります。
ペルソナを設定することで、
●どのような情報を求めているのか
●どのような言葉遣いが響くのか
●どのようなコンテンツが効果的なのか
などを深く理解することができます。
6. まとめ:コンテンツ戦略の第一歩
今回は、コンテンツ戦略の基本について解説しました。
* コンテンツ戦略とは、Webサイトをビジネスに活用するための計画
* コンテンツマーケティングは、戦略に基づいた具体的な活動
* Webサイトの目的と目標を明確にすることが重要
* ターゲット顧客を理解するためにペルソナを設定する
次の記事では、魅力的なコンテンツの作り方について解説します。
Next:中小企業のためのコンテンツ戦略入門 第3回
「魅力的なコンテンツ」で顧客を惹きつける
:Webサイト訪問者をファンに変える方法