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#61 中小企業のためのコンテンツ戦略入門 第3回

Apr 25, 2025By 徹全 TETSUZEN
徹全 TETSUZEN
コンテンツ戦略入門:「魅力的なコンテンツ」で顧客を惹きつける:Webサイト訪問者をファンに変える方法
Webマーケティングの落とし穴 - コンテンツ戦略という視点

「魅力的なコンテンツ」で顧客を惹きつける:Webサイト訪問者をファンに変える方法

1. はじめに:Webサイトを「退屈な場所」にしないために

中小企業の皆様、せっかくWebサイトに来てくれたお客様が、すぐに離れてしまう…そんな経験はありませんか?
(え?そんなデータも見ていない?早々に自社のサイトの分析してみてくださいね)
それは、Webサイトがお客様にとって「退屈な場所」になっているのかもしれません。
さて、確認します。
自社のサイト毎日みていますか?
毎日ではないにせよ、自社サイトを見たときにコンテンツに目を通しますか?
そして、それは面白いですか?興味深い内容でしょうか?
自身の経験を振り返ってみてください。もしあなたがそう感じるのであれば、お客様も同様に感じる可能性が高いでしょう。

よく見受けられるのは、企業側が伝えたい情報と、お客様が本当に求めている情報との間にズレが生じているケースです。
ターゲットの再確認もそうなのですが、ネットユーザーの特性を把握することも重要です。

魅力的なコンテンツは、単なる情報提供の場としてだけでなく、読み物として価値があり、顧客がファンになってくれるような力を持っています。今回は、そのための具体的な方法を解説します。

2. 顧客のニーズを捉えたコンテンツとは?

一般的に、お客様は自身の抱える悩みや疑問を解決するためにWebサイトを訪れます。つまり、顧客の課題解決できるコンテンツそれが最も魅力的で価値のあるものと言えるでしょう。
ここは非常に重要なポイントです。ターゲット顧客を広げすぎると、的確に課題を解決するコンテンツを提供することが難しくなり、結果としてコンテンツの焦点がぼやけてしまいます。したがって、万人受けを狙ったような、どこにでもある情報では、顧客の具体的な課題解決には繋がらず、魅力的なコンテンツとは言えません。
(これ、デザインも同様です。ま、でもひとまずは文章のことと理解してもらっていいです)

では、どのように顧客の課題を捉えれば良いのでしょうか?

●ペルソナを再確認し、顧客像をより深く理解する
前回設定したペルソナの悩みや疑問、興味関心を改めて深く掘り下げます。
仮説として立てたペルソナをさらに具体的に検討していきましょう。
●顧客の声に耳を傾ける
実際のお客様からの問い合わせ、アンケート、SNSでのコメントなどを分析します。
批判やクレームといったネガティブなフィードバックは、受け止めにくいものですが、改善のヒントが隠されている可能性があります。しっかりと分析し、改善に繋げましょう。
●キーワードリサーチを行う
お客様が検索する可能性のあるキーワードを調査し、ニーズのヒントを探ります。
Google Search Consoleなどのツールを活用することで、顧客がどのようなキーワードで検索しているのかを把握することができます。
●競合サイトを分析する
競合他社がどのようなコンテンツを提供しているかを参考に、自社の強みを活かせる領域を見つけます。

これらの情報を総合的に分析し、『お客様が本当に求めている情報は何か?』という視点を常に持ち続けることが、魅力的なコンテンツ制作の重要な第一歩となります。

3. 読まれるコンテンツ、見られるコンテンツ、シェアされるコンテンツ

魅力的なコンテンツは、ただ存在するだけでなく、多くの人に見られ、読まれ、そして共感されてシェアされるものです。
読まれるコンテンツ、見られるコンテンツに加え、Webならではの特性を活かした『シェアされるコンテンツ』についても、どのようなものが有効なのか検討することをオススメします。シェアと聞くとSNSを連想しがちですが、SNSを利用していない層も含めて、『もし自分がこの情報を見たら、誰かに教えたくなるだろうか?』という視点でコンテンツを考えることが重要です。

●読まれるコンテンツ
 ・タイトルが魅力的で、クリックしたくなる
 ・冒頭で興味を引きつけ、読み進めたくなる
 ・情報が整理されていて、読みやすい
 ・具体的な解決策や役立つ情報が書かれている

つまり、コンテンツが情報としてきちんと成立していることが重要です。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、インターネット上には、必ずしも基礎的な部分が満たされていない情報も少なくありません。

●見られるコンテンツ
 ・視覚的に魅力的で、デザインが洗練されている
 ・写真やイラスト、動画などが効果的に使われている
 ・情報が分かりやすく整理されている
 ・スマートフォンなど、様々なデバイスで見やすい

デザインやレイアウトは、コンテンツの魅力を高める上で重要な要素ですが、あくまでもコンテンツ(情報や文章)を効果的に伝えるための手段であることを理解しておく必要があります。
見た目の美しさにこだわるあまり、Webサイトの導線が複雑になったり、最も伝えたいメッセージが不明瞭になったりすることのないように注意が必要です。
この点については後述しますが、デザインやレイアウトは専門知識がない方でも意見を述べやすい領域かもしれません。しかし、制作会社とWebサイト全体の指針、そしてコンテンツ戦略の方向性をしっかりと共有することが、成功への重要な要素となります。

●シェアされるコンテンツ
 ・役に立つ、面白い、共感を呼ぶなど、感情を動かす
 ・他の人にも教えたいと思わせる
 ・SNSで共有しやすい形式になっている

これらの要素を意識してコンテンツを作成することで、より多くの人に届け、Webサイトの価値を高めることができます。


4. コンテンツの種類と特徴:ブログ記事、動画、インフォグラフィックなど

顧客のニーズやコンテンツの目的に合わせて、様々な種類のコンテンツを使い分けることが重要です。
伝えたい情報の内容や、ターゲット顧客の特性に合わせて、最適な種類のコンテンツを選択することが重要です。また、どのような種類のコンテンツを主体とするかが明確になれば、Webサイト構築を依頼する制作会社の選定にも役立ちます。制作会社にも得意分野があります。近年、Web制作の分野は細分化が進んでおり、動画制作に特化した会社や、ライティングを専門とする会社、マーケティングに強い会社なども存在します。そのため、社内のWeb担当者が複数の専門業者をコントロールすることが難しくなり、ディレクション専門の会社やコンサルタントに橋渡しをしてもらうケースも増えています。

●ブログ記事
 ・専門知識やノウハウを深く解説するのに適している
 ・SEO対策に強く、検索からの流入を増やしやすい
 ・最新情報や事例紹介など、タイムリーな情報発信にも向いている
●動画
 ・視覚的に情報を伝えやすく、理解を深めやすい
 ・製品の使い方、インタビュー、イベントレポートなど、多様な情報を発信できる
 ・YouTubeなどの動画プラットフォームを活用することで、幅広い層にリーチできる
●インフォグラフィック
 ・複雑なデータや情報を分かりやすく視覚化できる
 ・統計データや比較情報などを効果的に伝えられる
 ・シェアされやすく、Webサイトへの流入を増やす効果も期待できる
●事例紹介
 ・顧客の成功事例を紹介することで、信頼感や安心感を与える
 ・製品やサービスの導入を検討している顧客にとって、具体的なイメージを与えられる
●お客様の声
 ・実際のお客様の感想や評価は、第三者からの信頼性が高い
 ・購入を迷っている顧客の不安を解消し、行動を後押しする効果がある
●F.A.Q.
 ・よくある質問とその回答をまとめることで、顧客の疑問を迅速に解決できる
 ・問い合わせ対応の負担を軽減する効果も期待できる

これらの他にも、ホワイトペーパー、eBook、ウェビナーなど、様々な種類のコンテンツがあります。


5. 顧客エンゲージメントを高めるコンテンツ制作のポイント

単に情報を発信するだけでなく、顧客との繋がりを深めるための工夫も重要です。
意外と忘れられがちですが、Webサイトは単なる情報発信の場ではなく、会社の窓口であり、実店舗や支店と同様に、お客様との重要なコミュニケーションの場でもあります。
『コンテンツを作らなければ』という意識が先行すると、どうしても企業側からの情報発信に偏りがちになります。これらの双方向性を持つコンテンツは、いわば『柔軟なコンテンツ』と言えるかもしれません。あえて、Webサイトの初期構築段階で全てを盛り込む必要はないと考えて、段階的に検討していくことをおすすめします。

●共感を生むストーリーテリング
お客様の感情に訴えかけるストーリーを語ることで、共感と親近感を高めます。
●問いかけや意見交換
コメント欄やSNSなどを活用して、お客様とのコミュニケーションを積極的に行います。
●参加型のコンテンツ
アンケートやクイズなど、お客様が参加できるような企画を取り入れます。
●パーソナライズされた情報提供
お客様の属性や行動履歴に合わせて、最適化された情報を提供します。
●継続的な情報発信
定期的に新しいコンテンツを公開することで、お客様の関心を維持します。


6. まとめ:魅力的なコンテンツでファンを増やそう


魅力的なコンテンツは、Webサイトを「見られる場所」から「愛される場所」へと変え、顧客を熱心なファンへと育みます。

顧客のニーズを深く理解した上で、様々な種類のコンテンツを効果的に活用し、顧客とのエンゲージメントを高めるための工夫を凝らしていくことが重要です。

次の記事では、制作したコンテンツをより多くの人に見てもらうための方法、つまり「コンテンツSEO」について解説します。