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#79 第7回「チームで作る」コンテンツ戦略:上手なチームの作り方あるいは愉しいチームにする方法

May 28, 2025By habitus
habitus
中小企業のためのコンテンツ戦略入門
Webマーケティングの落とし穴 - コンテンツ戦略という視点

1. はじめに:「ひとり」の限界を超える、チームの力


中小企業の皆さん、Webサイトのコンテンツ作り、担当者一人に「丸投げ」状態になっていませんか?

せっかく素晴らしいコンテンツを生み出しても、それを継続して運用していくのは「ひとり」の力だけでは限界があります。まるで、ひとりで、筏に乗って太平洋のど真ん中って感じです。不安と孤独ね。そこで必要となるのが、目標を共有し、それぞれの強みを活かし合う「チーム」の力です。「十五少年漂流記」でも思い出してもらえばいいでしょう。今回は、コンテンツ戦略を成功させるためのチーム作りと、無理なく続ける運用体制の構築について書いてみます。

2. なぜ「チーム」でコンテンツ戦略に取り組むべきなのか:みんなでやれば怖くない?


コンテンツ戦略は、Webサイト全体の進むべき方向を決める、とても大切な取り組みです。一部の担当者だけの知識や視点では、どうしても偏りや見落としが生じがち。そもそもひとりででやることなんて限界がありますから。
でも、チームで取り組めば、こんな良いことがあります。なによりみんなでやればそれなりに愉しいわけです。

多様な視点の融合:まさかの「反対者」が救世主に?
異なるスキルや経験を持つメンバーが集まれば、より多角的なアイデアや意見が生まれます。普段の社内での役職もバラバラなメンバーを集めるのがオススメです。立場によってWebサイトへの見方や関心も異なるからです。そして、デジタル嫌いな人や、Webサイトに懐疑的な人もぜひ参加させてみましょう。彼らの素朴な疑問や「そんなの無理」という声が、意外な気づきや、より現実的な解決策に繋がることもあります。モメるのもアリってことで。

役割分担による効率化:餅は餅屋、でも新発見も
企画、制作、編集、分析など、それぞれの得意分野を活かした役割分担で、作業はグッと効率的になります。広告宣伝部などがない中小企業では、Webサイトの経験者が少ないかもしれません。でも、心配はいりません。実際にやってみると、意外な人が文章を書くのが得意だったり、写真選びのセンスがあったり、新たな「得意分野」を見つけられるかもしれません。素人歓迎ってことで。

責任感の向上と属人化の解消:もう「あの人しかわからない」とは言わせない
チームで目標を共有し、役割を明確にすれば、メンバー一人ひとりの責任感が高まります。これはかなり重要です。担当者が異動したり退職したりして、引き継ぎがうまくいかず、Webサイトの運用が滞るケースは本当によくあります(かなり致命的なのもあります)。チームで進めていれば、誰か一人に負担が集中したり、誰もわからなくなったりするリスクを減らせます。みんなで学ぶってことです。

継続的な改善サイクルの確立:社内の風通しも良くなる?
定期的なチームミーティングで、コンテンツの成果を共有し、改善策を話し合う文化を根付かせましょう。ある会社では、社内の各部署から一人ずつ担当者を選んでWebチームを作ったそうです。みんなでWebサイトを作ることで、他部署の人が何をしているかを知ることになり、結果的に社内の風通しがよくなったとおっしゃってました。こういうwebサイトの使い方もあるんですよね。


3. コンテンツ戦略を成功に導く「Webチーム」の構成要素:最適な布陣を考える

効果的なコンテンツ戦略を実行するための「Webチーム」は、必ずしも大人数である必要はありません。中小企業は限られた人的リソースで回すのがあたりまえです。社長一人でやっている会社だってたくさんありますし、それでも案外うまくいく場合も多いです。大切なのは、Webサイト運用を通して、社内の雰囲気を良くする「文化」のようなものを作っていくという視点です。

※ハビタスでは、皆さんのWebサイトの目標達成を支援するために、それぞれの専門性を持ったメンバーで構成される「Webチーム」の構築をご支援しています。(https://habitus.co.jp/service/web-team

一般的なWebチームの構成要素としては、こんな役割が考えられます。

戦略立案・企画:社長の出番です!
 Webサイト全体の目標に基づき、コンテンツ戦略の方向性を決め、具体的な企画を立てます。これは「ワンマン」とは違います。デジタル時代におけるビジネスに真剣に向き合っている経営者やマネージャーなら、その意味を理解できるはず。社長自らが乗り出すのが理想ですが、それが難しい場合でも、この戦略立案・企画を担う担当者には、ある程度の権限を与えてあげてほしいものです。
(経営者やマネージャー、Web担当者が兼任することももちろん可能です)

コンテンツ制作:文章だけは自分で書こう!
企画に基づき、ブログ記事、コピーライティング、動画、画像など、様々な形式でコンテンツを作ります。コンテンツ制作は最も時間と手間がかかるので、多くの中小企業が外部に委託しています。でも、正直言って、文章だけは自ら書くことを強くオススメします。文章のうまい下手ではありません。商品やサービスであればその正確な情報が必要ですし、そもそも普段の営業の際には、お客様に響く言葉を使っているはずですよね?自社のことを一番知っているのは当然自社の人でしょう。何より、文章に込められた「情熱」が違います。ライターに依頼すればうまくまとめてくれるかもしれませんが、その会社ならではの熱量は、やはり自ら書くことでしか伝わりません。
(社内の担当者、外部のライターやデザイナーなどが担当します)

編集・校正:「これ、本当に大丈夫?」の目を光らせる
作成されたコンテンツの品質を高めるために、誤字脱字のチェック、表現の統一、情報の正確性などを確認します。編集のスキルはプロの世界ですから、素人が簡単に「これがいい」と言い切れるものではありません。Webの制作会社ですら、編集のプロフェッショナルを抱えているところはそう多くないでしょう。しかし、情報を整理するノウハウだと考えれば、不可能ではありません。 それよりも問題なのは、本当に「よくあること」なのですが、社内の力関係でコンテンツの配置や表現に影響が出てしまうこと(「大人の事情」ってやつです)。これをきちんと整理できる「度胸」のある人が必要です。 校正は実際、社内ではほとんどやられていないでしょう。「デジタルだから後で直せばいいや」と軽く考えている人もいますが、こういう細かいところに目が行き届いているかどうかで、会社の信用度は大きく変わるのです。「神は細部に宿る "Le bon Dieu est dans le détail" 」と言うではないですか…
(社内の担当者、外部の編集者が担当します)

Webサイト運用・管理:Webサイトを「自分のもの」にする
作成されたコンテンツをWebサイトに公開・更新し、サイト全体の保守・管理を行います。以前とは違い、CMSの導入などでニュースや商品情報などの更新は、社内の担当者が自分たちでできるようになっています。あまり詳細なデジタル知識がなくても、サイトの運用はある程度できるようになっているのです。できる限りWebサイトを「自分たちのもの」にするために、自力でやれるようになりたいものです。 とはいえ、どうしても分からないことや対応できないこともあるはず。そんな時に相談できる「チーム(外部も含めて)」や、「どこに問い合わせればいいのか」という窓口をきちんと把握しておくことが重要です。 
Webサイトの運用とはWebサイトを「自分たちのものとして取り戻す」ための不断の行為だと言っておきましょう。
(Web担当者、制作会社の担当者などが担当します)

効果測定・分析:ビジネスの「成績表」を読む
GA4などのツールを使ってWebサイトのアクセス状況やコンテンツの効果を分析し、改善提案を行います。難しい役割に思われるかもしれませんが、私たちの経験上、これにハマる、あるいは興味を持って詳しくなるのは、意外と経営者やマネージャーの方が多いです。やはり、自らのビジネスがどう捉えられているか、どうすれば良くなるのか、考えるための客観的なデータだと考えるからでしょう。 しかし、GA4は様々な「イベント」を設定してデータを収集できますが、これを分析して「どう役立てるか」「どういう施策を行えばいいのか」を考えるのは、やはり自分たちの仕事です。これはアナリストと呼ばれる人たちでも、そう簡単に「はい、これです!」とは出てこないもの(過剰な期待したらダメですよ)。試行錯誤を繰り返す役割なのです。

これらの役割を、社内のリソースや外部の専門家の活用を組み合わせながら、自社に最適な形で構築していくことが重要です。正直、これだとチーム編成は難しいと感じるかもしれません。かなりハードな役割を任せることになりそうな気がしませんか?誰もがそう思います。いやいや、簡単ですよといいたいのだけど、あまり「楽勝だ」とは言いたくないので、それなりに気合いを入れてチーム編成すべきです。そして、その気合いに見合うだけの成果はきっと出るはずですから。


4. スムーズな連携を生む「情報共有」と「コミュニケーション」:形だけはNG!


チームでコンテンツ戦略に取り組む上で、最も重要な要素の一つが、聞き飽きた言葉ですが、メンバー間のスムーズな情報共有とコミュニケーションです。「言うは易し、行うは難し」ですよね。実際に形はできたけれど、継続するのが難しい、という話はよく聞きます。誰かがミーティングに出席できなかったり、単なる報告だけになってしまったりして、「ブルシットジョブ」を再生産しかねません。コミュニケーションツールもたくさんありますが、それにばかり頼っても、やはり報告だけで終わってしまいがちだし、ホントに伝わっているのか?共有できているのか?疑問だったりします。

やはり、きちんと短期的な目標や、最初にゴールを共有しておく必要があります。

定期的なミーティング:決める場、学ぶ場にしよう
コンテンツの企画状況、制作進捗、効果測定の結果などを共有し、課題や改善策を話し合う場を設けましょう。当たり前のことですが、きちんとアジェンダ(議題)を準備し、「どうしましょうかねぇ…」で始まるのは避けるべきです。ミーティングは「何かを決める場所」だと、みんなで理解しておくことが重要です。(日本人の会議運営の下手さはご承知のことかと…)

情報共有ツールの活用:「見ただけ」はノーカウント! 
ドキュメント共有ツールやチャットツールなどを活用し、情報がスムーズに共有される仕組みを構築します。とはいえ困ったことに、リテラシーの差なのか、共有したデータを見ない人もいます。案外チームリーダーがそうだったりすることも…。あるいは、単に「見ただけ」という人もいます。「情報を共有する意味」をチーム全体で共有しておきましょう。

明確な役割と責任:無理なく、でも曖昧にしない
各メンバーの役割と責任範囲を明確にし、誰が何を担当するのかを可視化します。この注意点は、一人もしくは少数のメンバーに負荷がかかりすぎるような役割を割り当てないこと。意外とよくあることです。それぞれの役割の具体的な内容は、基本的な部分を事前にメンバー全員で共有しておくことが大事です。最初は徐々に明確にしていけばいいくらいの気持ちで大丈夫です。

共通の目標意識:結局、ここに尽きる! 
チーム全体でWebサイトの目標を共有し、それぞれの業務がその目標達成にどのように貢献するのかを理解しましょう。結局、コンテンツ戦略はここに尽きます。お互いに腹を割ってしっかり話し合いましょう!この目標意識を共有するためにはそれなりにしっかり時間をとってもいいと思っています。未来の夢を語ればいいので雑談含めてコーヒーでも飲みながらやってもいいかもしれません。必ずしも効率的にやることがいいわけではない。先人の教えです。

5. 継続的な運用体制を「仕組み」として構築する:焦らず、でも着実に


一時的な取り組みで終わらせず、コンテンツ戦略を継続的に実行していくためには、「仕組み」としての運用体制を構築することが不可欠です。

年間計画とスケジュール:無理しすぎは禁物!
年間のコンテンツテーマや公開スケジュールを事前に計画し、チーム全体で共有します。企画倒れにならないように、無理しすぎの計画は絶対にやめましょう。そのためには、それぞれのメンバーがどの程度の作業をできるのか、現在の業務にどの程度影響があるのかを見極める必要があります。最初は「ゆるめ」のスケジュールで始めるのが賢明です。

制作フローの標準化:「なんとなく」を卒業しよう
コンテンツの企画から公開までの流れを標準化し、誰が担当しても一定の品質を保てるようにします。これもすぐに完璧な標準化はできません。チームメンバーで相談しながら、まずは「このくらいは守ろう」という品質ラインを決めていきましょう。ここでも無理は禁物です。

役割と担当者の明確化:責任は重すぎない程度に
各工程における担当者を明確にし、責任の所在を明らかにします。責任も、厳しすぎるものにしないこと。メンバー各人が初めてやる業務だと思っておくことが重要です。担当範囲も、徐々に明確にしていけばいいくらいの感じで大丈夫です。

定期的な効果測定と改善サイクルの組み込み:「飽きない」工夫を
効果測定を定期的に行い、その結果に基づいて計画や制作フローを改善していくサイクルを確立しましょう。なにかしら改善点は必ず出てくるものです。その細かい修正を怠らないことが重要です。だんだん改善点を見いだせなくなってくることもありますが、そこは細心の注意と「本当にこれでいいのか?」という疑う目を持ってチェックしましょう。
効果測定で思ったような結果が出ないときは、むしろ改善点を見つけ出す「チャンス」です。


6. まとめ:「チーム」というエンジンでWebマーケティングを加速させる


今回は、コンテンツ戦略を成功させるためのチーム作りと、継続的な運用体制の構築について書いてみました。
ちょっと長かったですね。

「個々人」の力には限界があります。「チーム」の力を結集し、情報共有とコミュニケーションを密にしながら、仕組みとしての運用体制を構築していくことこそが、Webマーケティングを加速させ、持続的な成果を生み出すための鍵となります。

「なかなか継続して実行するのは難しいんだよな…」そう思われるかもしれません。冷たく言い放てば「そういうもの」ですが、気分を楽にするなら「とりあえず半年!」と思って、まずはやってみてはいかがでしょう?

ハビタスでは、お客様の状況に合わせて最適なWebチームの構築と運用をご支援しています。続けるためには、私たちのような「ペースメーカー」を頼るのも一つの手です。もし、コンテンツ戦略の推進にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

次の記事では、中小企業のWebマーケティングにおける「落とし穴」を避けるために、コンテンツ戦略のトレンドをどう捉えるか?について書いてみようと思います。

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【中小企業のためのコンテンツ戦略入門】

第1回 中小企業が「コンテンツ戦略」で勝つ! :DX時代の新しい競争ルール

第2回 「コンテンツ戦略」の基本をマスターしよう :Webサイトをビジネスに活用するための考え方

第3回 「魅力的なコンテンツ」で顧客を惹きつける:Webサイト訪問者をファンに変える方法

第4回 「戦略的コンテンツ設計」で成果を最大化:問い合わせを増やし、売上につなげる

第5回 「コンテンツの質」を高める:編集・制作・管理のノウハウ

第6回 「データ分析」でWebサイトを改善:アクセス状況を把握し、効果を測定する

第7回 「チームで作る」コンテンツ戦略:上手なチームの作り方あるいは愉しいチームにする方法


第8回 Webマーケティングの「新しい波」:流行に流されない見極め方

第9回 実践編「小さな一歩」から始めるコンテンツ戦略:今日からできること、忘れてはいけないこ