#71 第5回 「コンテンツの質」を高める:編集・制作・管理のノウハウ

1. はじめに:
「質」こそが「量」に勝る
中小企業の方々からは「ブログは毎日更新した方がいいですか?」「SNSはたくさん投稿するべきですか?」といったご質問をよくいただきます。
これ結構切実なんですよね。特に任されている担当者にしてみれば、かなりの苦痛。数名の社員で交代で書いていたりしようものなら、会社の情報として出していいのかどうか?とか確認の手間も増える。これダメだ!と言われようものなら書き直しです。そもそもそんなにたくさんネタ持っていないし、文章書くのが苦手という人もたくさんいます。
以下、そんな悩める方々にできるだけ追い打ちをかけるような話にしないように書いてみようと思います。
さて、もちろん、情報発信の頻度も大切ですが、何よりも重要なのは「コンテンツの質」です。質の低い情報をいくら発信しても、お客様の心には響かず、むしろ逆効果になることさえあります。「量より質」。
今回は、Webサイトの成果を大きく左右するコンテンツの質を高めるための具体的なノウハウについて解説します。
2. コンテンツ制作の「流れ」を整理する:
無理なく続けるための工夫
質の高いコンテンツを継続的に制作するためには、無理のない「制作の流れ(ワークフロー)」を確立することが大切です。
企画: どんな情報を誰に届けたいのか、目的を明確にします。(これまで説明してきた内容ですね)
構成: 伝えたい情報を分かりやすく整理し、見出しや段落を考えます。
執筆: 構成に基づき、文章を作成します。
編集・校正: 誤字脱字、表現の矛盾、情報の正確性などをチェックします。(今回のテーマの核心です)
公開・配信: WebサイトやSNSなどでコンテンツを公開します。
効果測定・改善: 公開したコンテンツの効果を分析し、改善に繋げます。(これは後日)
これまでも書いてきたとおりなのですけど、漠然と具体的なイメージをもたないまま書き始めてしまうと、続かなくなって冒頭に書いたような状況に陥ってしまいまいそうです。
難しく考える必要はないですが、企画、構成は事前に頭使って頑張りましょう。
さて、この中で、中小企業にとって案外負担になりがちなのが「編集・校正」の工程です。どうしても後回しになったり、担当者の個人的な判断に委ねられたり、場合によってはなにもしないまま公開!とかしがちですが、質の高いコンテンツを生み出すためには、この工程をしっかりと行うことが大事。
3. 「ちょっとした手間」で劇的に変わる:編集・校正のポイント
プロの編集者のように完璧を目指す必要はありません。ちょっとした手間をかけるだけで、コンテンツの質は劇的に向上します。
声に出して読んでみる:
目で追うだけでは気づかない誤字脱字や不自然な表現が見つかりやすくなります。これは案外バカにしないでやったほうがいいです。
恥ずかしいのかもしれないですけど…。
時間を置いてから見直す:
書き終えた直後ではなく、少し時間を置いてから客観的に読み返すことで、改善点が見えやすくなります。
ある年齢一定以上の方は夜中に書いたラブレターみたいなものを思い出していただければ…。朝は読めたモノではありません…。
第三者の意見を聞く:
可能であれば、同僚や上司など、別の人に読んでもらい、意見や感想をもらいましょう。
こういう公開前の原稿などを見てもらうことで、コンテンツを作る仕事に理解をしてもらえる可能性もあります。
嫌がらせにならない程度に、読んでもらいましょう。
チェックリストを活用する:
誤字脱字、文法ミス、表現の統一性、情報の正確性など、チェックすべき項目をリスト化しておくと、効率的に確認できます。
とにかくデジタルの文字のミスは多いんです。気づいたらいつでも直せるからという気の緩みがあるのか…。でも実際気づいても直していないこと多いですよね。
ツールを活用する:
校正支援ツールや文章校正ソフトなどを活用するのも有効です。
なんだか受験生が勉強しているような感じですが、ちょっと考えれば当たり前にやっていることですよね。
こういう当たり前の基礎的なことを継続できることが大事とイチロー選手も言ってました。
イチロー選手並みにはなれないかもしれませんが、イチロー選手のマネをしてみようということです。
完璧な文章でなくても構いません。というより完璧な文章なんて誰も書けません。あえて言うなら「伝われば完璧」です。
だから「誰かに伝えたい」という気持ちを大切にしつつ、ちょっとした手間を加えることで、格段に読みやすく、信頼性の高いコンテンツにすることができます。
4. 「最新情報」をきちんと管理する:
バージョン管理と更新の重要性
Webサイトの情報は、常に最新の状態に保つことが重要です。古い情報や間違った情報が掲載されたままになっていると、お客様の信頼を損なうだけでなく、SEOの評価を下げる原因にもなります。
このバージョン管理は、ほぼ社内で確認できていないのではないでしょうか?おそらく制作会社に任せている。詳しいことはわからないまでも確認するくらいはやったほうがいいです。
更新ルールを決める:
誰が、いつ、どのように情報を更新するのか、基本的なルールを決めておきましょう。
だいたいが、担当の方1名のみってことが多いのでは?それだとちょっとリスクがあるなぁ…とは思いつつそのまま…でしょう。
よくあるのが、その担当の方が退職されたとか移動されたとかで、どうやって運用してきたのかわからなくなっていることも多いです。
更新ルールを決める際には、そのことも念頭に。
更新履歴を残す:
どの情報がいつ更新されたのか記録を残しておくことで、管理がしやすくなります。
概ねこれはわかっているんです。ですが、その更新履歴を確認することはめったにない。
いつ更新したんだっけ?だれが更新したっけ?とそれを確認するのに時間がかかったりしているようです。
それだとあまり役立たないですよね。記録はあるはずだけど、どこにあるかわからないという状況は避けましょう。
定期的な見直しを行う:
Webサイト全体を定期的に見直し、古い情報や修正が必要な箇所がないか確認しましょう。
定期的ってどの程度の頻度かわからないかもしれないのですが、webサイトは適宜見直す。
古い情報どっさり溜まっていること結構あります。別にお客様からクレームが入るわけではないのでしょうが、イメージ下げます。必要のない情報でお客様を振り回すことにもなりかねません。
コンテンツの棚卸しをする:
多くのコンテンツがある場合は、定期的に棚卸しを行い、不要な情報や統合すべき情報などを整理しましょう。
特に、製品情報や価格、連絡先などは、変更があった際に速やかに更新することが重要です。
これらはちょっと考えれば当たり前のことなのですけど、この当たり前のことを実行するのが難しい。その方法を教えてくれよ!と言われそうです。
ある種の心構えの話のような気がするので、いくつが自分に置き換えれば、方法がないといえなくもないのですけどなんだかここに書くことでもなさそうです。心構えですから…。
そんなわけでひとつ。ペースメーカーを!わたしたちがお手伝いします。
5. 「使いやすい仕組み」で効率アップ:CMSの活用
中小企業にとって、Webサイトの運用にかける時間や手間は限られています。そこで役立つのが「コンテンツ管理システム(CMS)」です。もはや多くの企業で導入されているかと思います。なので、あまり詳しく説明する必要はないでしょう。
CMSの導入には、制作上制約がいくつかあるのですが、それでも以下に示すような利便性があるので、それを埋めて余るものです。
専門知識がなくても更新できる:
HTMLなどの専門知識がなくても、Microsoft Wordのような感覚で簡単にコンテンツを作成・編集・公開できます。
複数人で管理できる:
複数人でWebサイトのコンテンツを管理・更新できるため、業務の効率化に繋がります。
デザインとコンテンツを分離できる:
デザインの知識がなくても、統一されたデザインでコンテンツを作成できます。
SEO対策をサポートする機能がある:
多くのCMSには、SEO対策を支援する機能が備わっています。
代表的なCMSとしては、WordPress(ワードプレス)などがあります。自社のWebサイトの規模や運用体制に合わせて、適切なCMSを導入・活用することで、コンテンツの制作・管理にかかる負担を大幅に軽減できます。
6. まとめ:「質」への意識が成果を生む
今回は、コンテンツの質を高めるための編集・制作・管理のノウハウについて解説しました。
質の高いコンテンツは、お客様の信頼を獲得し、Webサイトの価値を高め、最終的には問い合わせや売上といった成果に繋がります。なんども言いますけど、完璧を目指す必要はありません。
ちょっとした手間を惜しまず、「誰かの役に立つ情報を届けたい」という気持ちを持って、コンテンツ制作に取り組んでいきましょう。
コンテンツとはそもそもなにかを伝えるために作るものなのです。伝える必要のないものをコンテンツと呼ばなくてもいいでしょう。企業はWebサイトを通じて顧客になにかを伝えたいわけですから、どうやったら伝わるのか?を
考えるのがコンテンツ戦略なのです。一応、肝に銘じておくべきことは「伝わってはじめて伝えたことになる」ということです。これは結構深い。考えはじめるとなかなか難しいのです。伝わらなければ伝えたことにならないのですから。一方的にこちらがこれならわかるだろう、伝わるだろうというある種の思い込みでコンテンツは作ってしまうものなのです。そこのところを考えてどれだけ謙虚になれるでしょうか?いつまでたっても完璧はないのですから、常に意識し、考えながら手を入れていきたいものです。
次の記事では、制作した質の高いコンテンツの効果を測定し、Webサイトをさらに改善していくための重要なステップ、「データ分析」について解説します。
===================================
【中小企業のためのコンテンツ戦略入門】
第1回 中小企業が「コンテンツ戦略」で勝つ! :DX時代の新しい競争ルール
第2回 「コンテンツ戦略」の基本をマスターしよう :Webサイトをビジネスに活用するための考え方
第3回 「魅力的なコンテンツ」で顧客を惹きつける:Webサイト訪問者をファンに変える方法
第4回 「戦略的コンテンツ設計」で成果を最大化:問い合わせを増やし、売上につなげる
第5回 「コンテンツの質」を高める:編集・制作・管理のノウハウ